批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
 
て、この溶けるという変化は、水の本質として、水の潤いを示している。この潤いは渇いたものを敵対するものとして排斥する。「潤いとして正反対のものを排斥する」これが他動詞としての「溶ける」の意味である。水が「怖るべき渇きを溶けている」とは、水がその潤いを示すことによって、敵対する渇きを排斥することである、と。ここでは「渇きを溶ける」という新しい記号表現に、「潤いを示すことで渇きを排斥する」という新しい記号内容が付与されている。意味論的コードも拡張されたのである。


2.3.3.解釈の可能性の広がり

 言語記号は、固有名などを除けば、たいてい普遍性を持っている。たとえば「雪が降る」という表現
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