批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
 
とれるのだ」という主張は却下され、「自動詞が他動詞化された」という主張が採用される。つまり、「溶ける」は他動詞化されていて、それゆえ目的語がとれるようになったのである。ここでは新しい結合の規則が創出されている。すなわち新しい統辞論的コードが創造されたのである。
 「溶ける」を他動詞としてとらえるのならば、溶けるものは溶けることによって何らかの対象に働きかけなければならない。この引用部では、「水」が「溶ける」ことにより「怖るべき渇き」に何らかの働きかけをしているのである。試みに次のような解釈をしてみよう(あまり良い解釈ではないがこのくらいしか思いつかなかった)。水は水自身に常に溶けている。そして、
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(5)