批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
つまり、「時間を抜けおちる光」という記号表現は、「時間と一体化した空間を透過してくる光」と言う記号内容を意味するのだ、と読者は創造的に解釈することが可能である。ここでは、詩人が創出した新しい記号表現に、読者が新しい記号内容を付与している。このことによって、意味論的コードは拡張されるのである。
2.3.2.統辞論的コードからの逸脱
彼は知っている
水とは
怖るべき渇きを
溶けているということ
高岡修の「形状記憶」から引用した。「溶ける」は自動詞であるから、文法的には、すなわち統辞論的コードからは、目的語をとることはできない。ここでは「溶ける」が「怖るべき渇き」とい
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