批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
 
びつきによって(選択制限を破ることによって)美が創出されている。結びつきが意外で新鮮だと感じるのは、「青い」「軽蔑」という語の意味を理解しているからだ。「青い」が色を表し(意味し)「軽蔑」が精神作用を表す(意味する)ことを理解しているからこそ、結びつきの意外性が認識され、ひいては美が認識されるのである。ここでも、美の創出に意味作用が一役買っている。
 さらに、ここで宗左近の「月の光」から次の箇所を引用する。

 魚にエラ呼吸というものがあるのと同じように
 この宇宙には月呼吸というものがあるのですよ

ここでは、「月呼吸がある」という思想的発見が鮮烈であり大変美しい。このような認識的な
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