批評祭参加作品■現代詩の記号論2/葉leaf
しておく。たとえば音楽性は、記号作用を媒介することなく直接鑑賞者の情緒に働きかけると私は言った。だが、この場合、音楽性によって引き起こされた情緒的印象を、その音楽性の意味であると考え、そこに記号作用を読み取ることができはしないか、という意見も考えられる。だが、その意見を採用すると、およそすべての対象は、人に認識されることにより、その認識内容を記号内容とする記号であるということになってしまいかねない。たとえば犬を見て犬の視覚的イメージを得たとき、犬はそのイメージの記号であることになってしまう。これでは記号の外延が不当に広がってしまい、「記号」という語の「記号と非記号を区別する機能」が著しく減殺される
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