一円の雪/小原あき
慎重にゆっくり呼吸をすることにしている
この公園でわたしは育ったようなもんだ
一回十円の滑り台
一分五円のブランコ
家を出るときお母さんに
三百円までにしなさい、といつも言われたっけ
幼稚園児にも満たない子供が
遊歩道で夢中になって白い息を吐いている
小さな頃って
あれが楽しくてたまらないんだよね
わたしもよくやった
いい加減にしなさい、って
いつも怒られたな
もう学校の始まってる時間だ
広場の真ん中にずんぐり立っている時計を見た
だけど、いつもこのベンチで
わたしの横に座る彼氏はまだ来ない
もしかしたらわたしを置いて
もう学校に行ってしまっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(19)