一円の雪/小原あき
まったかもしれないな
一万円払えば
彼女じゃなくても
セックスはできるもんね
知ってるよ
わたしが欲しかった三万円のリング
それはわたしの指じゃなくて
彼氏好みのあの娘(こ)の
すらりと白い指に填まってること
あの娘(こ)とは
この公園でよく遊んだのに
さっきまで止んでいた雪が
また降り出してきた
一円の結晶を
手袋で受けとめたけれど
一円の価値も示さないうちに
消えてしまった
なぜだか寂しくて泣いた
涙は一粒いくらだったかな
そんなことも忘れてしまうくらい
幼い子供みたいに泣いた
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