世界/紫音
 
のが
手放すものだとしても
迷わずに掴み
血まみれで手放そう

涙無き世界に
第九の旋律は響かない


全くの残酷で
蓋然ではなく究極の必然
運命は
 だからこそ冷徹にして
            美しい


闇に潜む先に
点在する灯火を
ただ

掴み取れ


ほとんどは

恐ろしいまでに価値も意味もありはしない
そもそも
この世界に価値も意味も
 ありはしない


「あのお店が無くなった」
「あの人が居なくなった」

それは
別の何かを上書きしたに過ぎない


忘却し抹消し
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