世界/紫音
 
消し殲滅せよ
失うモノの無い世界は純粋な停滞と均衡

新世界の可能性は
ただ極限の終末の中に訪れん


血と汚辱に塗れたその手で
顔を拭い鏡を見る
そこに映るのは
醜く小さきモノ


自分
自分
自分


それに死を与えよ
その可能性こそ
生の光芒を生むもの


絶望はまったくの闇にして
だからこそ光をもたらさん



儚き哉
その情念こそ
絶望を呼び
生を喚起する



嫌悪こそ
自己への嫌悪こそ
生の躍動の道標



惨めな記憶を
いまこそ
デリートすべきとき
虚ろな均衡を
いまこそ
メモリーごと破壊すべきとき


新たに刻まれるあらゆるモノは


新たにあらゆる喪失を生む
戻る   Point(1)