小詩集【にゃお。】/千波 一也
 




二 割れないたまご



  機械的な
  街だとしても
  あしたの祈りが渦巻いて
  それと同時に
  幾度も踏まれて

  けれども確かに
  きのうはあったから
  あした、と呼ばれる
  きのうは
  あったから

  スクランブル、

  少しのあいだ
  足たちが止まる

  手のなかにある
  痛みをそっと
  迎えるように


  夢見るこころの表面の
  名もなき顔は
  きょうもまた
  翼にかわる
  人知れず





三 命拾い



  数えることは
  もうやめましょう
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