もう風の中にもない(教えてくれなんて初めから言ってなかった)/ホロウ・シカエルボク
っちゃ
明日の天気も語れないやつらばっかりさ
スーパー・マーケットの前で
迷子の少女が泣いていた
飴玉をあげると
にっこり笑って店の仲へ消えた
どちらかを忘れたり出来れば
少なくとも堂々巡りは避けられるものだ
小さな町並みを抜けると
各駅停車が駆け抜けた
数年前、あれに乗って
少し離れたところまで行ったんだ
時間が掛かりすぎたけど
いつの間にか忘れられない
一日の中に入っていた
持ち込んだ文庫は早々に終わっちまって
どこかの駅でもう一冊買ったんだっけな
貪欲を手に入れたけりゃ
とことん退屈になってみればいい
他になにも手にするものがなければ
カポーティと
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