もう風の中にもない(教えてくれなんて初めから言ってなかった)/ホロウ・シカエルボク
ィとだって心底判りあえるさ
昔は綺麗だった河の堤防のベンチには腰を下ろすものはもう誰も無かった
だから俺はそこに座って
夕暮れが始まるまでじっとしていた
上流の方の鉄橋を
六両編成の特急が通り過ぎてゆく
スピード上がれば上がるほど
スタートとゴールだけの関係
途中下車が多すぎるこの俺は
年中誰かを待たせているが
いらいらするのはそいつの勝手で
別段俺の責任ってわけじゃない
自分の気分を尊重するだけさ
急いて見落としたりしたくは無いんでね
どっちへ歩こう
どっちへ帰ろう
昨日は試しもしなかった
そんなところへ帰りたい
ハナから旅じゃないのさ
出所の判らない
パズルのピースひとつ
手に持ってうろうろしてるだけだ
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