それが何だったかもうわからない/カンチェルスキス
い雲、歪んだ電柱、使い切った消火器の赤
覚えたばかりの言葉が いつのまにか身体の中を巡って それなしでは生きられなくなる
何でもないような顔をして目の前の人が 今から人を殺しに行く
駅前のコンビニに寄って、ポカリスエットを飲み干し 駅の階段をのぼって
券売機の前で困ってるお婆さんの代わりに切符を買ってあげたりして
電車の中のまっすぐな目 何でもないような顔をして目の前の人が 彼は人を殺しに行く途中
ピクセルの顔が画面で笑っている 整形手術しなくてもどんなふうにも変えられる顔
重力を失った足で歩いている ふわふわと 空
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