それが何だったかもうわからない/カンチェルスキス
空を飛びたいと憧れた人も
どこかにちゃんと着地したいと思ってる あの歩道橋を越えたところで着地 もううんざりだから
声が声で消される静寂を怖れた蛸壺の中で罵り合って 泣いてるんだけど涙顔に見えない
古い辞書に載ってた言葉をメモした紙の切れ端が 乾いた空気に擦り切れて燃える
あたたかいものに抱かれるような言葉 倒れた人も甦るかもしれない言葉
どこに居てもちゃんと着地できて歩けるような
墜落する途中の飛行機の中で思わずにはいられないような
手探りで探してももう発見されない発掘されない 擦り切れて燃えた
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