今日選んだ三つの詩/生田 稔
 

 空気の中に静かに音もなく羽ばたいている鳥がごとく、視線の中の美しいスケッチであった。

「風鈴」はやかわあやね作
風鈴がなるほんの一瞬に意識を横切った思い出。
「いろんなものが沢山あるけれどその中で一番大切だったものはなんだと思う?」とお母さんに問う、この部分が作者の主題であろう。その問いには「かあさんは何も答えはしなかった」と言う。
 ややもすれば幼い感じに取れる表現が続いているが、風鈴のなる一瞬にこめた形而上学それがこの詩の命である。


「next door」風音作 と言う詩に最後に出会った。アパートの隣の住人のことと言う内容は言ってしまえば簡単であるがなかなか考え
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