今日選んだ三つの詩/生田 稔
今日選んだ三つの詩
詩の批評をまたしてみようと、1月に作られた詩から3つを選んだ。いずれも心を惹いたという単純な理由からである。しかし文学においては心を惹く好ましいなどということは、はなはだ大切なことである。
第一に選んだ「銀食器」水無月一也作は何という詩であろうか、批評するにしても何処から手をつけて良いのか見当もつかない。しかしいい詩である。
「自由の代償は
もっとも硬く美しく
ここにあります
今はまだ」という結尾部がやっと意味らしきものを与える。
「地平が 恥じらってゆく」というその一つ前の連も意味ありげで慕わしい。その他の連はそれぞれ美しい調和を保ち、ふとふと心を惹く。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)