終わりに着いたねと君は言った/Utakata
 
を振る
君は首を







水平線
波はずっと前に死んでしまった
もう雨も降らない
太陽はもう動かないので
明日がいつを指すのかはもう誰も知らない
風はまだいくらかは吹く
まだ辛うじて世界は回っているのだと分かる

きっとそのうち
風も止むだろう

(終わりに着いたんだね、と君は言った)




失われたものたち
失われたという記憶さえ失くしたものたち
例えばそれは
僕たちの子供の頃の記憶であり
明日なんていうものの概念であり
それこそ
未来という言葉の意味だった
僕らの言語には多分
次々と失われていく過去形しかなかった

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