頭を打った日/猫のひたい撫でるたま子
に傷を作ってしまった可哀想な彼女はごめんねえ、大丈夫?と、何度もいった
歌舞伎町をふらふら歩いていた私を保護してくれた小説家は、今日は仕方ないといった
私を阿佐ヶ谷まで運んだあるタクシー運転手は、災難だったねと笑った
まだ会っていない母は私の顔をみて、あなたが悪いと言うだろう
私はどう感じているの?
辛いのか、悲しいのか、怒りがこみ上げているのか、わからない
ただ、額と背中が痛くて、明日の仕事場で酔っ払って作った傷だと悟られないようにするにはどうしたらいいのかを考えている
消えない傷を作りたかったバンドは、流血するわたしが見えていたのかいないのか、滞ること
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