頭を打った日/猫のひたい撫でるたま子
 
ことなくステージで音楽を奏で続けた

そんな彼らの音楽が好きで、救急車に運ばれながらも最後まで聞きたかった、とかぼんやり思っていた

そこで音楽が終わっていたとしたら、私はどう思っていたの?

自分が台無しにしたステージを見て、悔しかったの?
やっぱり普通のバンドだったとがっかりするの?
音楽は人の血よりも薄かったと、つまらない安心をするの?


私はなにを考え、どう感じているの

わたしに聞いてもわからない


風邪を引いていた小説家は我慢できずに寝息をたてる

前髪に血が固まっていて、わたしはまだ眠れない

寝汗と血なまぐさいにおいとが優しくこの部屋を包み込む


容赦のないセックスは安心

容赦の無い剥奪は愛


針が私の額を縫っている間、病院の先生はなにか違うことを考えていなさい、というので倒れるまえに聴こえていたフレーズを頭の中でリピートしてた


運の悪い、がわたしの運命


頭を打って、忘れたことはなんでしょうか?

あなたも私を忘れるのでしょうか?





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