オープニング/たもつ
も行く
人それぞれの基準
それぞれの形で
太郎さんは前から三列目に着席し
体には適正な範囲内の水分が保たれている
Aの板書する空港をノートに次々と書きとめていく
どこまでも行く
つきあたりを左折
太郎さんの肩、その向こうに
高く切り立った崖B(仮称)がある
春のうららかな光の中
以降「高く切り立った崖B(仮称)」は「B」と略して表記
「太郎さん」はずっと「太郎さん」のまま
Bからたくさんの人や物が落ちていくのが見える
「きれいですね」Aは感想を述べながら空港を板書し続ける
「落ちていくからきれいなのでしょうか、
それもときれいだから落
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