七人の話 その5/hon
この秘密を守れるわね?」
強い口調で志穂子に迫られ、睦夫はこくりとうなずいた。
「そう。それでは儀式を始めるわ」
志穂子はそういうと、無造作にバラの花を一輪もぎとった。
それと同時に、いつの間にか、先の尖ったバラのトゲが彼女の右手に掴まれてあった。
突然の提案に、睦夫は不安になって身を引いた。
「心配いらないわ。秘密を確固たるものに成立させるには、形式が必要なのよ。これであんたは秘密を誰かに話そうなんて気はなくなる。大丈夫、ほんのちょっとチクリと痛いだけだから」
志穂子は強引に睦夫の右手をつかんで、トゲを彼の人差し指に突き刺した。鋭い痛みが走り、指先に血の雫が、ぷっくりと膨
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