七人の話 その５/hon
んに与えていっぱい世話をしたときは、いっこうに育たなかったのに。まあ、つまりはそういうことだった。あまり構いすぎると、バラたちも『世話負け』をするのね。適当にやるのが良いってこと。コツをつかんでからは、もう育てるのに失敗はなくなった。ところで、この成育器につかった土は『霊園』の土なのよ。してみると、死者の肉体がバラの花の養分の一部をなしていたのかもしれないわ。やがて私はこの部屋一面を鮮やかな赤と緑で埋め尽くしてやった。ミツル兄さんも、それを見たときには感心してた。それは二人の共同事業だった。二人とも屋敷の誰にもしゃべらなかったから、事業は二人だけの秘密だった。花々は室内いっぱいに咲き誇り……それは
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