【エッセイ】裏庭について – それからすこし家の話/mizu K
く、あってもそれがすきな人、き
らいな人、目にも入らない人等様々である。であるから必ずしも誰にでも必要な場所と
いうわけではないが、それを切実に求めざるを得ない人がいることもまた事実である。
いくつかの文学作品には裏庭(あるいは外界から隔離された庭園、もしくはそれに類す
る空間)は非常に重要な場と時間を提供するものとして現れている。代表的なものでは
バーネットの『秘密の花園』があるし、ほかにフィリッパ・ピアスの『トムは真夜中の
庭で』、梨木香歩にはまさしくその名の『裏庭』がある。
これらの作品の共通項としていえることのひとつには、主人公またはそれに近い位置
にある人物が、心のベク
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