【エッセイ】裏庭について – それからすこし家の話/mizu K
って拾う。骨格だけみせている家
は、その光景を静かに見ている。すこしだけはじらいながら。
私は家というものがもつ気配を感じられるようになれたのだろうか。それはよくわか
らない。それでも屋内を風が通れば、だれかがそちらからやさしく息をふっと吹きかけ
てくれるような、そんな気がするときも、たまにあるだけである。
{引用=
■固有名詞は仮名
■註:
* 「光」と「闇」に関しては、私は闇にほうが「あった」と思うのだけれど、―もちろ
ん、光=善、闇=悪という、粗悪な「ものがたり」によくあるような単純な図式をそこ
にあてはめることはできない。闇とは、善悪もなくもっと混沌と
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