悲しい病室/AKiHiCo
ます
お休みなさい
病室に足音が響きます
一人の女性が近付いてきます
薔薇の花束を抱えておられました
真っ白な薔薇
腕を伸ばしたいけれど
指示を受け付けぬ身体は
ただただ寝台に同化するばかり
あの女性は誰でしょう
誰でしょうか、
白い薔薇は無造作に寝台、
いいえ、私の上に散らされました
女性の表情はどこか冷めた気がしました
「もう、お仕舞いにしようね」
幼い頃からの願いがありました
ただひとつだけの夢です
おかあさんに頭を撫でてもらう事
「いい子ね」と優しく
常に僕は出来損ないでしたから
贅沢な夢なのですが
もしも叶うのなら
女性は僕の腕
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