Stoned in Cairns/クリ
 
、みんな紳士だった、グビッ。殴られたことは一度もない。みんなと遊んだ。
 (嘘だろ。そんな兵隊がいるってか)
 あっ、待ってくれ、歌を教えてもらったんだ。歌ってみる、グビッ。待ってくれ。こんな…。
 彼は歌いだした。

「アーオイメーオーシータオニンギョハ。アメリカウマレノセールロイド…」

 僕は呆気に取られて彼の歌を聴いた。じっと彼の目を見て聴いた。
 彼は1クールを歌いきった。少しおかしな箇所もあったが、その場所その時刻では完璧だった。僕は彫像のように固まった。
 しばしの静寂。何の音も聞こえない。
 「アイ カーント ビリーブ イット」と彼。最後まで歌えるなんて、こんな
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