いぬけ/佐々木妖精
乗り出し
焼け付く矢じりを受け止める
「もうすぐだよ」
全身に雷(かみなり)を受け
間近に迫ったその声は
父さんのもので
ここはかつて
父も通った場所であると知り
ふと
脈略もなく嗚咽が漏れ
身体中に傷を負った父を肩に抱き
雲を縫うように差す滲んだ日の中で
佇む女性と出会う
岐路の終点
あけぼの
きみは
そのむき出しの足は
紛れもなくあの人で
あなたでしたか
探しました
母さん
私は母さんの初めての子ですよ
_外
自由 詩
この自由は詩によって縛られ
詩のルールを感覚的にしか把握できず
恐
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