いぬけ/佐々木妖精
 
立ち尽くす岐路
                お
幾何学模様の降雪が
ひっきりなしに舞う中
浮かぶのは決まって
まだ見ぬあの人の顔

凛とした足跡を
あらゆる角度から眺め
態度を決めかねながら
降り積もる雪に
埋もれるのを防ごうと
覆いかぶさり
一つきりの証を守っても

ひりひりとした冷気が
夜の訪れを告げ
風が吹雪を運び
二本の白髪を隠す
ここ
なのかな
死に場所は
ここ?

ちくちくと騒ぎ始めた
どうせと結局のマフラーを
黙るようきつくしめ
足跡の方向を確かめ直し
ピンと風を受け
掲げられては
刻まれゆく帆

白く滑らかに染まっ
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