いぬけ/佐々木妖精
立ち尽くす岐路
お
幾何学模様の降雪が
ひっきりなしに舞う中
浮かぶのは決まって
まだ見ぬあの人の顔
凛とした足跡を
あらゆる角度から眺め
態度を決めかねながら
降り積もる雪に
埋もれるのを防ごうと
覆いかぶさり
一つきりの証を守っても
ひりひりとした冷気が
夜の訪れを告げ
風が吹雪を運び
二本の白髪を隠す
ここ
なのかな
死に場所は
ここ?
ちくちくと騒ぎ始めた
どうせと結局のマフラーを
黙るようきつくしめ
足跡の方向を確かめ直し
ピンと風を受け
掲げられては
刻まれゆく帆
白く滑らかに染まっ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(6)