永遠の懐胎/鈴木
「さあな。だが心当たりはある」
「ほう」
「たぶんあれは光だ」
またも仰天し身をこわばらせたカタミミをよそにブンガクは語り続けた。
「口伝によれば、光とは形はなく闇と対をなしすべてを照らすものである。あの顔は周囲から如実に浮き上がり、まさに先の通りだ。つまり」
だがカタミミは聞いていなかった。まず陽光は辿りついても永遠に存在するわけではなく時間と共に形を変えやがては消えてしまう。次に別の群れや動物が居座っていた場合は潔く身を引かねばならない。争奪に使うエネルギーは双方にとって無駄であるからだ。発見次第早急に確保し草を食べ休息し東へ発つ。カタミミの足は既に日の当たる方角へ踏
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