永遠の懐胎/鈴木
 
かしたところで倒れ伏す時期が変わるわけでもあるまいて。それより極限の飢餓感に陥れば、よい作品を生み出せるように俺は思う」
 ブンガクはまぶたを開けた。
「いい日和だね」
 そして古くから伝わる歌を詠み始めた。
「『私は太陽に恋をした。だってなによりも美しいから。四肢を広げて、できることならむくむく広がって、日差しを独り占めしてしまいたい。私は醜い。しかし――』この世情における生物の在り方を端的に示している名曲だな。とても百五十年前に作られた歌とは思えない」
「ふん」
 相変わらずのけれん味にカタミミは苦笑したが、ブンガクの
「ずっと向こうに誰かいるぞ」
 という言葉に
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