永遠の懐胎/鈴木
 
付くものたちは陰に濡れ、でんぷんを含んだ植物が育たず動物多く死んでいった。今では土や木の根を噛みながら、草食動物は稀に見られる日なたの草を、肉食動物は共食いも辞さずとにかく餌を、もしくは行き倒れの遺骸――更に言えばこれを食べ運悪く腹を虫に食い破られた新しい遺骸――を探し誰も彼もさまよい歩くばかりである。
 森が肥大し始めたのは百五十年前、どの種においても昔日の安息を知る長老どもは変化に対応できず若輩の糧となった。そして現在この森でわずかだが最多の数を誇るのは、言語で情報を共有できる毛のない羊というわけだった。彼らは東へ急いでいる。東には大河がある。大河に木は生えない。光がある。沿って下れば尽き
[次のページ]
戻る   Point(4)