永遠の懐胎/鈴木
 
にひっそりと浮かぶ薄い黄が茶に侵され朽ちていく。僕はその様を倍速で眺めつつ水面に口をつけてうっとりとすする。夢見る。泥と微生物と花の魂の味が満ちて、いつか睡蓮としてピンクになれる。「ハヤト」妄やぶれて父があり。「パパ」僕は睡蓮で、ママの言を改変するならコウノトリの糞だよ。ずっといつまでもパパとママの子供。

 我いまだ胚葉なれば、生来の罪を贖ふこと能はず。羊水で仰臥し膣壁を凝視しつるほどに、剥落する肉片へ欲を覚えしは不自然にや。個の意は即ち生に如くはなく種の意は即ち永続に然り。悠久の構築が目的なればこそ親は子を膣は我を作りしか。我は他と等しく個と種、両の性質を帯ぶる者なり。而して水面なき海に
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