永遠の懐胎/鈴木
き、話を再開した。
「彼女の後日談だが、結局は追い出されたらしい。長老どもの意志と頭は固かったのだろうな。そしてこの森林化が始まった」
「この二つが関係あるというのか」
「結びつくんだよ。私が吟じていただろう。君も知っているだろう。あの歌も百五十年前のものだ。いいか、こいつは今でこそ光を失った我々の天空へ思いを馳せる哀歌として認識されているが、想像してみるがいい、うららかな昼の草原で風に吹かれながら、遊び相手のいない孤独な羊が太陽を見上げながら口ずさむ様を」
カタミミはふと群れを見渡した。自分たち以外は皆ひたすらに根をしゃぶっている。痩せこけた体躯を木にすり寄せて、泣きつくように舌
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