永遠の懐胎/鈴木
あ滑稽話さ。だから信憑性は薄い」
「創作なのか」
「どうかな、昔の話なのでね。だが先ほど君に話しかけられるまで瞑想していたのは、ある推測を立てていたからで」
「まだ続きがあるのか」
「むしろここからが問題だと思う。君は考えたことがあるかい。なぜ突如として環境が変わってしまったのか。なぜ空が青と白から茶と緑になったのか。産まれたときから森があったから我々は当然のように考えていたけれど、俺はあの奇妙な顔を見て思い出したのさ」
「なにを」
「例の話は百五十年前の出来事とされている」
カタミミには話の流れが理解できなかった。沈黙が流れた。ブンガクは眉間に皺を寄せて右目だけ開き、
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