永遠の懐胎/鈴木
 
々を束ねる君ならよく知っているはずだが」
「うむ」
 カタミミは思い留まった。確かに気になるところではあるのだ。
「そこで俺は思い至った」
 ブンガクは目を閉じた。
「祖母が口にしていた伝説に」
「文学か」
「文学だね。俺の思索など及びもつかぬ太古の話だ」
「それはもしかして、まだ空が青かった頃のことなのか」
「そうだ。遥か昔、我ら羊たちは地の先々まで見透かせる平原で暮らしていた。外敵も活発で日々が楽だったとは言いがたいが、食物に困ることなく群れもこんなこぢんまりしたものではなかったという。数が多ければ変わり種が出る可能性も高いだろう。その日、産まれた雌に一匹、
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