永遠の懐胎/鈴木
。視界が狭まる。彼女が僕の体温で少し溶けた気がする。
「アイビー、美しいってのは」
「駄目」
しかしすぐに遮られてしまった。
「分かった気になっているだけ。あなたはまだ小さいから」 そうかもしれない。僕はまだ小さいから。
「そして私も」
鉱物は氷を溶かさない。辺り一面は闇の漆で塗り固められ、峠の方からときおり狼の遠吠えが聞こえるだけで、あとは二人の声がすべてだった。
「アイビー、胎児が膣に感じるのは食欲かな、性欲かな」
「さてね。それは次までの宿題にしておく」
彼女はいつもためらわない。
「どうせ私たちは永久に胎児だから」
雪はひたり増して、ついに
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