イノセント/ホロウ・シカエルボク
きっと
言葉に出来るときは
目の前の椅子は空席で
すべて判っていた、たぶん君のほうも
ずっと見つめてきたものはあながち間違いじゃなかったはずで
ほんとうはきっと
回避出来る何らかの手段があるはずだった、けれど
足りないのはひとことで
互いの胸の底に沈む
重たい重たい真実で
ガラス越しに肌の温もりを求めるみたいで
見えているのに、すぐ
すぐ近くにそれは見えているのに
たったひとつの言葉が求められるときに
真摯な思いなど何の役にも立たない
夕焼けがないせいで突然に暮れてゆく今日の姿が
もうすでに断層の向こうへ流れ始めた
これまでの時間を饒舌に語る
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