イノセント/ホロウ・シカエルボク
 



感情を上手く話そうとして、何度も口を開けては閉ざした
感情を上手く捉えようとしていたが、目の中を覗き込むほどの
信頼ひとつそこにはあるわけではなく
不安の色は青空を埋め尽くす雨雲みたいで
次第に肌を突き刺してくる冷たい温度みたいで
話せないことの言い訳を探すみたいに
窓辺に目をやると風に流れた枯葉がひとつ


本当のことはずっしりとしてるから
なかなか上まであがってこない
無理に言葉にしようとしても
ありきたりな単語が空回りするみたいで
「違うんだ」と
諦めてしまうことが判っていたから
窓辺の枯葉が角度を改めた北風に
砕けながらはらはらと落ちてゆく

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