七人の話 その4/hon
 
う杓子定規にはいかないみたいだけど。イヤなことばかりを忘れずにいつまでも抱えている人もいれば、イヤなことはすぐに忘れてしまう人もいる。意味のない、取るに足らないような記憶を残すこともある」
「先の尖った刃物は苦手だけれど……」
「夢。もちろん、優秀なアンドロイドは、夢をみるべきだ。それは、夢を見るために、眠る時間が必要だろうということだ。人間のように、活動を完全に停滞させる必要はないかもしれないけど。思うに、そこでは、新しく得られた体験と、古い記憶とを、結び合わせ、精査し、吟味することが行われるのかもしれない。価値がないとかつて捨て去った古い情報のうちのなにかが、新しい体験と照らし合わせること
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