生還者たち(マリーノ超特急)/角田寿星
 
を撃つふり
をしながら
うふふ。嘘。
顔をあげて私の下唇をあまく咬む。

やがて少女の顔がうつくしく歪む。
白い肌がうっすらと汗に濡れて透きとおる。


はるか昔の言い伝え。
ささやかな光を宿した内陸の宝石にそれを凌駕する眩さをもった圧
倒的な光が襲いかかりささやかな光はなす術もなく消え去った。
五年前に人の通えない森の奥で突如暴発した巨大な光の柱について
この村の誰もがかたく口を閉ざしている。管理局サイドの閲覧可能
なデータではこの事件に関する記載は一切ない。名も無いカメラマ
ンが森に喰われながらその命と引替えに撮影したデータからは断片
的ではあるが破滅的な何かが
[次のページ]
[グループ]
戻る   Point(7)