生還者たち(マリーノ超特急)/角田寿星
 
かが生じた可能性を見て取れる。そしてそ
の現場から流れる川の下流に村は位置している。

嘘よ。なにもかも嘘。みんな嘘を言ってる。
わたしは生まれた時からこの村にいるの。両脚の「これ」は鉄道事故。
わたしは母親の仕事を継いでるだけ。
うつむいた少女のほそいうなじを窓辺の光がやわらかく抱いた。

少女は若草色のワンピースをふたたび羽織り枕のうえに器用に跨が
ってベッドサイドのちいさな丸テーブルに丁寧にカードを並べてい
る。聴こえないくらいの声でひくく歌をうたいながら。
 人は誰も惑星を抱えて生きていく…けして自ら輝かない星…光を
 そして浴び…
ジョーカーのない32枚。欠落だ
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