あなたという、/山中 烏流
あなたの音を聞かせて
そこに何もないことを
確かめるように
あなたの空を見せて
それがどこまでも続くことを
教えるように
私に映るあなたが
限りなく、あなたに
近いと良い
網膜に焼き付けた
あなたの所作、全てに
今も
相違が無いと良い
寂しがる前に、
唄を下さい
あなたはいずれ
別のひとになる
その足跡の一つだけに
私は息を潜めるだろう
それでも決して
振り向かないで欲しい
その時も、あなたは
私にとって
あなたで在り続けるのだから
あなたの色を出して
私との違いを
知らしめるよう
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