There Is A Light That Never Goes Out/岡部淳太郎
の左右を通り過ぎつつあるものたちのように、誰もがみな去っていってしまったのだろうか。もうこの世に自分の存在を気に留めている者などひとりもいないような気がして、おまえは目を閉じる。闇の中で目をふさぐということは、またもうひとつの闇の中へと沈潜することである。おまえは目を開ける。やはり闇である。おまえはふたたび足を動かして、道の端から真中へと進み出る。誰もいないということは、この道は自分のためだけにある道ではないのか。そう思って、おまえは深呼吸する。今度は息はこぼれない。ただおまえの胸のあたりにふわふわとただよっている。相変らず周囲は高速で通り過ぎているが、おまえは自分自身が北極星になったかのような心
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