ダンボールと新聞紙と/AKiHiCo
なる
いわゆる致死量らしい
母から淡々と伝えられた
視界が滲む
ゆらりゆらり
輪郭が崩れて背景に溶け込む
世界が混ざり合い揺らめき
時々刻々と姿を変える
母と手を繋いで歩いた商店街
そっと瞼を閉じたら一筋だけ
涙が頬を伝った
息を吸い込む度に下腹部が窪んで
吐き出せばすぐに膨れる
生きているのか
生かされているのか
赤い液体がなくなるまでの
時間が不毛に思えてくる
限られた時間の中で
どうやって伝えればいい?
私が生まれてきた意味を誰に問えばいい?
声はもう出ないと言うのに
潰された咽喉が虚しく啼くだけ
腕を伸ばしたら願いは摑
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