「復想園」 /生田 稔
然し父はいつも手下を送って彼に警告した。
つまらぬことはよせ、今のうちなら父は必ずお前を許すだろう、戻れ!戻れ!という叫びを幾度も聞いた。
悪魔の子はその声によって戻るどころではなく、ますます神の知識を身につけて、父をきりきり舞いさせることを考えた。
ようやくその日はやってきた。彼はある黎明、輝かしい歓喜が胸中に湧き上るのを覚えた。悪魔の知識が自分の心から遠ざけられて、多量の神の知識が心中で躍動するのを感じた。悪魔の父が地の底からの支配を完全に止めたのを知った。
彼は躍り上がって歓んだ。多くの光が広い
野に満ち満ちていた。彼は一人歓びつつ深山
から、その青草と花々の満つ野原に降
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)