「復想園」  /生田 稔
 
おれの力はお前に及んで、お前のその心に反して、お前はお前の兄弟たちの誰よりもひどい運命に倒れるだろう。然しお前が本当におれに詫びる時がくればその時は許してやる。」
 然し悪魔の子は父の力を嘲笑していた。彼はこのように考えていた。悪魔の力も、父の敵である神の力には及ぶまい。私は悪魔の子だから、神の保護を受けることは出来まい、しかし神は昔から我々悪魔に神の愛と力と公正に気付けと叫んでおられるから、神の指示通りのことをすれば私は父の束縛から脱せるのだ。
 そして悪魔の子は一人深山に入って神の言葉を勉強した。父の束縛は常に彼に及んで、彼は狂い悶え幾度もつまづきそうになりながらそれそれに抗した。
 然
[次のページ]
戻る   Point(1)