「復想園」  /生田 稔
 
っているのをいつも鼻で笑った。
 いや実は悪魔という名をこの世から消すことも考えたのである。悪魔達も実はたいして幸福ではない。悪魔にも階級があって、父の悪魔以外には皆その上があって自由ではないのである。悪魔達は協力し合わないと倒されるので、お互いに憎み妬み合いながら助け合っているような具合なので、到底幸福などというものは無い。
 彼も生まれてしばらくは、兄弟達と同様に悪魔の仕事に携わったが、その仕事のばかばかしさ、発展のなさに気付いて、いよいよ父が領土をくれる頃になると、悪魔の社会を脱け出した。
 父の悪魔は烈火の如く怒って、地の底から大きな声を出して言った。
「お前が何処へ行こうと、おれ
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