十二月の手紙 デッサン/前田ふむふむ
鐘の音を、
しわの数ほど叩いた鐘楼の番人ごと、凍らせるだろう。
眼を瞑り、もう一度、掌を開くと、
中央の広場が、犠牲の祭りを咲かせている。
編物のような自由という言葉にかき消されて、
白いスカーフの女は、二度と姿を見せることはないだろう。
・・・・・
愛するあなたへ。
十二月は凍えるみずうみのようです。あなたは、自由という活字の断片の洪水によって、固められた海辺で、打ち寄せる波と、波打ち際を吹き渡る、よそいきの服装を、今日も屈託のない笑顔で、はおっているのですか。あなたがくれた高揚とした朝の、青く広がる鳥の声は、砂漠のように霞んでいます。振り返れば、せせらぎは見えなくとも、
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