とおい時代/九谷夏紀
 
けど
 そんな命を賭けるほどの情熱を持て余して
 東京の西の外れで呆然と暮らしていたんだろ

 はるばる旅していけ好かない連中と喧嘩しながら
 なあ 本当は疑ったかい
 ここに来たのは間違いだったんじゃないかって
 君らはまるで鉄砲玉のように
 誰かを殺傷してでも信念を貫く
 なんたる傲慢、なんたる自虐
 なあ 本当はうなされたかい
 こんなことまでして生きる意味はないんじゃないかって
 友を恐れて
 そのうち君自身恐れそのものとなって
 ひとでなしとなった君らは
 それでも結局人のために生きた
 
 知らない土地で
 まっさらから積み上げた君らの ほんとう 
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