わたしの好きなもの/k o u j i * i k e n a g a
 
が。
 足の膨張感はじわじわと痛みに変わってくる。あるいはこうも言える。痛みが「思い出してほしい」と首をもたげてきた。痛み、と言うとなんだか格好をつけているような照れ臭さはないですか?私はあります。キャラメルをなめたりして気を紛らわせるといいかもしれない、痛みをしばし忘れられるという意味で。と私はポケットに偶然にもキャラメルが入っていることを期待して、しかもそれは叶わない。都合よくいくことなど、今まで何一つなかった。そういうものが人生だ、というような流行歌があったことを思い出し、口ずさむ。合間には口笛など吹きつつ一曲やる。通行人というかまわりの人たち、もちろん他人だが、彼らの視線を感じる。すごく
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